日本福祉のまちづくり学会関西支部

 
セミナー

第21回 日本福祉のまちづくり関西セミナー報告 
「スポーツから考えるユニバーサルデザインシンポジウム
す る ・ 見 る ・ 支 え る
共に楽しむユニバーサルなまち・建物をつくる 」

―2004年10月9日(土) ピフレホール(神戸市長田区)―

この日は神戸に台風が上陸するとの予報があり、開催自体も危ぶまれたが、幸い昼前には雨も止み、無事開催することが出来た。神戸市との共催であったこともあり、このような状況にも関わらず114名の参加者を得ることができた。

見学会:神戸ウィングスタジアム

 午前中はW杯が行われた神戸ウィングスタジアムの見学会には42名が参加し、普段は入れないVIP席や選手のトレーニング室、ロッカー室なども見せていただき、設計を担当した大林組から、ユニバーサルデザインの取り組みについて説明していただいた。また、車いす利用者だけではなく、様々な障害に対応した神戸アスリートタウンクラブが設計に関わったスポーツクラブも見学した。
 その後、神戸市営地下鉄海岸線を利用してシンポジウム会場に向かった。海岸線は2001年7月に開通した新しい路線であり、構内や駅舎はユニバーサルデザインの考えに基づいて設計された。神戸市交通局海岸線のページ
スタジアム外観 観覧席から見る
スタジアム外観
観覧席から見る
スタジアム職員から説明を聞く参加者 熱心に説明を聞く参加者
スタジアム職員から説明を聞く参加者
熱心に説明を聞く参加者
車いすで移動 女子トイレのサイン
車いすで移動
女子トイレのサイン
スポーツクラブのプール スポーツクラブ内のシャワー室
スポーツクラブのプール
スポーツクラブ内のシャワー室
基調講演 「スポーツのユニバーサルデザインとは」

北岡敏信氏( ユニバーサルデザインコンソーシアム主任研究員)

基調講演をされる北岡敏信氏
基調講演をされる北岡敏信氏

 北岡氏は、ジャン・ジャック=ルソーの人権思想から始まり、世界人権宣言、国際障害者年、ユニバーサルデザインまでの流れを話された後、パラリンピック、各国のスポーツへの取り組み、日本各地のスポーツを用いたまちづくりへの取り組みを紹介していただいた。

 ユニバーサルスポーツは、なかなか人に理解されないことが多いが、「障害者スポーツ」「生涯スポーツ」の融合であると考えている。誰もがスポーツを楽しめる環境やプログラムの整備が必要で、これらは地域に根ざしたNPOの力に期待するところが大きく、兵庫、神戸は神戸アスリートタウンクラブを始め、全国的にも先進地域であり、これからは、ここ神戸から発信してもらうことを大いに期待していると話された。
 本講演・シンポジウムに関して、北岡氏が「ユニバーサルの今」(Japan Design Net内)に書かれています。こちらもご覧ください。

『スポーツを通してつくる「まち」と「交流」 −SPORTS FOR ALL』

コーディネーター:田中直人氏(摂南大学工学部教授)

シンポジスト:
北岡敏信氏 (ユニバーサルデザインコンソーシアム主任研究員)
辻 一氏  (日本車いすテニス協会副会長、社団法人大阪脊髄損傷者協会会長)
山田明仁氏 (NPO法人神戸アスリートタウンクラブ副理事長)
西村忠英氏 (アシックススポーツアパレル事業部 スポーツスタイル企画開発部)
 まず辻氏は大阪脊髄損傷者協会会長として、また車いすテニスのプレーヤーとして、スポーツと環境整備の両面から働きかける活動を行っている。これまでの障害者スポーツは道具の工夫などで人が合わせていたが、今はルールを変えたり、サポートしたりして、スポーツを人に合わせていくことで、誰でも参加できるようにしようという方向へ変わってきている。これこそユニバーサルへ向けた動きだと思うと話された。
シンポジウムの様子
シンポジウムの様子
 次に山田氏から、『「健康・スポーツ」をテーマとしたまちづくりの推進を図るため、「身近で」「誰でも」「正しく」「楽しく」を特徴として、子どもも高齢者も、障害者もトップアスリートもすべての人が、それぞれの価値観・技術レベルに応じてスポーツを楽しみ、健康づくりができるまちづくりを目指す』とした「神戸アスリートタウン構想」のもと、地域と共に、スポーツを切り口とした様々なイベントを展開している神戸アスリートタウンクラブの取り組みを紹介いただいた。詳しくはホームページをご覧いただきたい。
  神戸に本社を持つアシックスからは、トップアスリート(オリンピック選手)への支援が有名であるが、スポーツの裾野を広げるために、競技志向ではなくスポーツを楽しむ層、中高齢者層などをターゲットとした商品開発を積極的に進めており、着脱しやすい水着「コモ ディアナ」やウォーキングシューズ「ペダラ」を紹介された。展示会場では水着の展示があり、参加者からの多くの質問に最後まで対応されたいた。
左から北岡氏、辻氏、山岡氏、西村氏
左から北岡氏、辻氏、山岡氏、西村氏

その後、会場からの質問も交えて、新しい動きに期待しようという活発な議論が展開された。

展示会場

 別室に展示会場を設け、アシックスの水着展示、神戸市の取り組み、近隣の大学紹介、平成18年に兵庫県で開催されるのじぎく国体などの多くのパネル展示がされ、参加者は閉館時間まで熱心に見学していた。
パネル展示:神戸市の取り組み
アシックス水着の展示
パネル展示:神戸市の取り組み
アシックス水着の展示


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