日本福祉のまちづくり学会関西支部

 
セミナー

第17回 日本福祉のまちづくり関西セミナー報告 
「福祉を評価することの意味と方法」

【後藤玲子氏】

国立社会保障・人口問題研究所研究室長
立命館大学大学院先端総合学術研究科教授

 講師として後藤玲子先生を迎え、「福祉を評価することの意味と方法」と題して講演していただきました。後藤先生は、経済学が専門で社会保障、公的扶助、生活保護に焦点をおいて研究されています。1998年にノーベル経済学賞を受賞したアマルティア・センの理論を正確かつ明瞭に描写しうる日本で数少ない研究者でもあります。

後藤玲子氏の講演風景
 コーディネーターを引き受けてくださった新田保次先生(大阪大学大学院工学研究科・教授)は、福祉のまちづくりを推進していく上で、どのような施策を実施するべきかを決定するためには、「福祉を評価すること」が欠かせないと、セミナーの趣旨を説明されました。
猪井博人氏の講演風景
 イントロダクションとして猪井博登氏(大阪大学新田研究室・博士課程)が、「潜在能力アプローチ(Capability Approach)」についての説明と、それをどのように応用していくか、コミュニティバスを例に説明をされました。
 
新田保次氏の講演風景

 経済学において、「福祉」を評価し社会政策をどのように決めていくかは、解決しなければならない重要課題として、様々な取り組みがなされてきました。

 後藤先生は、「潜在能力アプローチ」は、ひとの厚生をより分析的に捉えることによって、個々人が「価値をおく理由のある生を送ること」を支える制度的なメカニズムを明らかにするものだとしています。同じ財やサービスを受けても、どのような機能を選び、それによってどのような厚生を得られるのかは個人によって異なりますが、経済学ではこの部分をこれまであまり見てこなかった経緯があります。また、人の効用を高めるものはそれぞれ異なるので、その選択の自由を保障しなければならないし、それによって豊かになった状態から何をするのかを選択する自由も保障されるべきだと話されました。
 

【ディスカッション】
 
 
ひとつひとつの言葉は専門性が高く、我々分野の異なるものには難しい部分が多かったが、先生は身近な例を挙げながら丁寧に説明してくださいました。70名近い参加者とのディスカッションは活発に行われ、講演が終わってからもしばらく後藤先生を囲んで議論が続きました。

当日の資料を実費(1000円)にてお分けします。ご希望の方は、事務局までお問い合わせください。


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