セミナー

第40回 日本福祉のまちづくり関西セミナー報告

「車椅子の昨日・今日・明日
 〜パーソナル・モビリティの進化と暮らしの変化〜」

2014年4月20日(日) 一般社団法人 日本福祉用具評価センター(JASPEC)
講 師:中村俊哉氏(兵庫県立福祉のまちづくり研究所/日本リハ工学協会・車いすSIG)
講 師:松尾清美氏(佐賀大学医学部/日本リハ工学協会・乗り物SIG)
講 師:内藤淳平氏(WHILL株式会社)
今回のセミナーは、一般社団法人日本リハビリテーション工学協会関西支部・車いすSIG・乗り物SIGとの共催で行われました。歴史的な車椅子を多数保管する一般社団法人 日本福祉用具評価センター(JASPEC)には、会場を貸していただくだけでなく、歴史的車椅子の見学、試乗走行路の提供など様々な協力をいただきました。
「車椅子の昨日・今日・明日」のタイトルに合わせて、3名の講師にお話しいただきました。
まず、「車椅子の歴史からみる車椅子の進化と暮らし」と題して、兵庫県立福祉のまちづくり研究所の中村俊哉氏からは、車椅子の発達の変遷とまちづくりの変化、さらには、それらの立場からパーソナル・モビリティに期待するものについて語っていただきました。
次に「車椅子使用者から見た車椅子の現状と暮らし」では、佐賀大学医学部の松尾清美氏から、小児の車椅子の適合事例の話がありました。四肢欠損(左足のみ動かせる箇所あり)の小児が、車椅子を左足だけで動かせるようになり、暮らしが大きく変化した様子を見せていただきました。
そして「パーソナル・モビリティの現状と未来」では、WHILL株式会社の内藤淳平氏から、世界で開発・使用されているパーソナルモビリティの数々を動画で紹介していただき、自身が開発されたWHILLの実機についての説明がありました。パーソナルモビリティは、障害者や高齢者対象ではなく、手軽で便利な乗り物として世界で利用が始まっていることが分かりました。しかし、日本では道路交通法による規制により、これらを利用することが叶わないのが現状です。
その後、会場内の歴史的車椅子を、川村義肢株式会社の松田靖史氏と神奈川県総合リハビリテーションセンター沖川悦三氏の解説と共に見学、WHILL実機の試乗、システムデザイン・ラボの杉本義己氏らが開発した、こめかみの筋電位で操作する車椅子の体験など、参加者各自が興味のあるところを自由に回り、体験、講師への質問を行いました。試乗に人気が集中したため、閉会時間を延長して行いました。
セミナーは、福祉用具に関連する企業の方、研究者、学生など幅広い分野から34名の参加がありました。学生を含むスタッフは26名で、スタッフもともに試乗をさせていただき、有意義な時間を過ごすことができました。
兵庫県立福祉のまちづくり研究所の中村俊哉氏
〈兵庫県立福祉のまちづくり研究所の
中村俊哉氏〉
佐賀大学医学部の松尾清美氏
〈佐賀大学医学部の松尾清美氏〉
松尾氏のパーソナルモビリティ
〈松尾氏のパーソナルモビリティ〉
WHILL株式会社の内藤淳平氏
〈WHILL株式会社の内藤淳平氏〉
WHILLに試乗する参加者1
〈WHILLに試乗する参加者1〉
WHILLに試乗する参加者2
〈WHILLに試乗する参加者2〉
筋電位で操作する車椅子に試乗する参加者
〈筋電位で操作する車椅子に
試乗する参加者〉
歴史的車椅子に関するレクチャーを受ける参加者(説明する川村義肢・松田氏)
〈歴史的車椅子に関するレクチャーを
受ける参加者
(説明する川村義肢・松田氏)〉

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